オリジナル小説(BL)番外編第32話

『キンモクセイの魔法に誘われて』番外編

『リゾートの海に誘われて』


※このお話はフィクションです。


「あと1日だぜ疾風。がんばれよ」
そう言って竜也はベッドに横になった。
サンキュ竜也・・・
窓を眺めて疾風は呟いた。



楽しかった修学旅行もあと1泊となった。
今日は最後のクラス行動の日だった。

行き先は「戦艦ミリーズ記念館」
真珠湾に係留される戦艦ミズーリ。
その戦艦が博物館として残されている。
ハワイにもこんな場所があったなんて知らなかった。
他にも観光客で賑わっていたが、お年寄りが多かった。
彬生や秀の世代ではもちろん、その両親の年でさえもう戦争とは縁が遠くなっている。

「せんせー何でここなの?」
秀は前を歩いていた藤井をつかまえた。

「僕たち日本人には忘れてはいけない経験だからだよ」
若い藤井の回答としては少し意外な回答だった。

秀の横にいた疾風は藤井の顔を見た。
藤井も疾風の瞳を見つめた。
「へぇ、どうして?」
疾風は藤井に問いかけた

「2度と同じ間違えを繰り返さないために」

疾風の問いに答えた藤井はいつものように微笑んではいなかった。
まるで自分自身に言い聞かせるような言葉だった。

「さ、こっちに並んで」
それをうち消すような教師としての一言で、
その話題はこれでおしまいだと遠回しに告げられた。
「せん・・」
「吉永ちょっとこっちに来てみないか」
疾風が藤井に問いかけようとすると、藤井は彬生に話しかけた。
「あれ?疾風なに?」
彬生は疾風の行動に気づいて振り返ったが
疾風はそのまま微笑んだ。
「いや、何でもない」
疾風はそのまま展示してある写真を見に行ってしまった。

彬生はその背中を見ていたが、呼ばれた藤井の近くに行った。
「今、疾風が先生に話しかけようとしてたみたいだっだけど」
「そうか?」
気づいてか、それとも本当に気づかなかったのか藤井は振り返ったが、その時にはもう疾風はどこかへ移動していた。


「ラッキー」
見学が終わってバスに乗り込むと、疾風は早速藤井の隣の席を陣取った。

「疾風そこは・・」
「お前はこっちだ」
生徒会長の翔太が藤井の隣の席は自分だと言い出す前に秀は翔太を薫の隣へと導いた。
薫の隣に導かれれば悪い気はせずに翔太もそのまま後ろへと行ってしまった。

「お前には話して方がいいかもしれないな」
藤井はため息をついてから渋々口を開いた。
「えっ、何?」
疾風は真顔になった。
「ここでは人に聞かれてしまうかもしれないな」
藤井はいったんそこで言葉を切ってから回りを見て小声で言った。
「大事な話があるから、今夜夕食が終わって、
消灯時間以降に誰もいなくなったら僕の部屋に来られる?」
「もちろん。行きます」
疾風は喜んで応えた。


「でも、真面目な顔で一体どんな話があると言うんだろう?」

夕食のバイキングを皿に取りながら疾風は呟いた。
「なにぶつぶつ言ってるんだよ」
秀は疾風の頭を小突いた。
「イテッ」
疾風は頭を撫でながら振り返った。

「今日で最後なんだから、お互い悔いは残らないように頑張ろうな!」
親指を立てて秀はニッコリと微笑んだ。
「お互いって、お前自分に言ってないか?」
疾風はクスッと小さく笑った。

「もちろん。あっ彬生!こっち」
皿を片手に持ってウロウロとさまよっている彬生を見つけて手を上げた。
「あら、また秀ったら彬生を独占してる。
もぅ最後なのに私たちとも一緒に食べたっていいじゃない」
それを見つけた女生徒がそう言った。
「ま、しょうがねーな最後だからな。
今日は彩せんせーとみんなで一緒に食べようか?な、疾風」

秀はすごくいいタイミングで回りの状況の変化を感じとり、対処していく。
彼がいるから彬生も居心地がいいに違いない。
それに彬生が気づいているかどうか話は別であるが・・・
疾風も秀に何度助けられたかわからない。
「サンキュ、秀」
疾風は小声で呟いた。
「おう、高いぞ」
秀は聞こえていたようだった。


「実は・・・」

消灯時間の後、こっそり部屋を抜け出した。
と言っても同室の竜也は知っていて知らん顔してくれた。
そして藤井の部屋へと来たのだった。

「せんせー、俺何を聞いても平気っす」
少し緊張していた藤井に対して緊張を少しでも和らげるように疾風は微笑んだ。
その笑顔に少しだけ救われたように藤井は立ち上がった。
「何か飲むか?」
「せんせーは?」
逆に尋ねられて藤井も少し微笑んだ。
「本当は教師としてはまずいけど、これは気付け薬だから」
冷蔵庫からビールの缶を出しながら1本を疾風に手渡す。
「飲んだことあるだろ?」
「別にない訳じゃないけど・・」
疾風は少し驚いた。
まさか藤井が自分に向かってビールを勧めるなんて予想外の出来事だったのだ。

<つづく>




今日は池袋に行って来ました。

すごい人で驚きました。

でもでもお気に入りのものを手に入れてとっても上機嫌です

小説は一気に次の分もアップする予定です。
お楽しみに

いや、別に楽しみになんかしてないといわれるかも
しれませんが、アップしてしまうと思います。多分・・きっと・・・

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この記事へのコメント

2007年04月30日 05:23
るる様☆おはようです

「2度と同じ間違えを繰り返さないために」
これ、どんな想いで言ったのでしょう・・・
何か悲しくて重たい言葉ですね(T_T)
修学旅行もいよいよ帰国に近づいていますか?
藤井先生はどうするんでしょう??う~ん・・・
ハワイの観光地、やはり戦争に関わるものがあるんですね
2007年04月30日 15:28
ゆの様☆こんにちは

割と長くなってしまってます(汗)
よくぞ読んで下さいました(苦笑)
ハワイには一度しか行かなかったのですが、
同僚と2人でバスを乗り継ぎながら離れたアウトレットへ向かったときに偶然見つけました。
お年寄りにぜひ見て行きなさいと言われましたが見なかったので後悔しています。
だから
「2度と同じ間違え・・」違うって!スミマセン
この後に続きをアップしますねvv
2007年04月30日 22:31
るる様、こんばんゎ☆

彩チャン…貴方の真意は一体!?
疾風の純粋で不器用な愛に答えずに
教師という立場に逃げちゃうのかしら…。
沢山のキャラが上手く交差する物語で
この2人の関係が切なく浮かび上がってます。

それにしても、秀はホントにイイ子やぁ…。
2007年05月01日 09:31
凛子様☆おはようございます

そうなんですよ~秀はいい子なんです
だから恋も成就させてあげたくなってしまう
親心から彬生が悪い子になってしまいます(苦笑)
彩ちゃんには過去があるんですよ。
実は・・・

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