オリジナル小説(BL)番外編第33話

『キンモクセイの魔法に誘われて』番外編

『リゾートの海に誘われて』


※このお話はフィクションです。


「実は・・・」
消灯時間の後、こっそり部屋を抜け出した。
と言っても同室の竜也は知っていて知らん顔してくれた。
そして藤井の部屋へと来たのだった。
「せんせー、俺何を聞いても平気っす」
少し緊張していた藤井に対して緊張を少しでも和らげるように疾風は微笑んだ。
その笑顔に少しだけ救われたように藤井は立ち上がった。
「何か飲むか?」
「せんせーは?」
逆に尋ねられて藤井も少し微笑んだ。
「本当は教師としてはまずいけど、これは気付け薬だから」
冷蔵庫からビールの缶を出しながら1本を疾風に手渡す。
「飲んだことあるだろ?」
「別にない訳じゃないけど・・」
疾風は少し驚いた。
まさか藤井が自分に向かってビールを勧めるなんて予想外の出来事だったのだ。


「これは僕がまだ学生の時の話だけど」

藤井はビール缶のふたを開けて口をつける前に話し始めた。
「僕はこんな風だからいつもかばってくれる友人がいた」

開けられた窓から心地よい風が入ってくる。
疾風は缶ビールのふたを開けて藤井に手渡した。
無言でその缶を受け取りながら藤井は微笑んだ。
そして、ひとくちビールを口に運んでごくりと飲んだ。

「ちょうど今の疾風みたいに」

視線を疾風に向けると疾風は真っ直ぐに藤井を見つめていた。
「彼の名は大輔。同級生だった」
「だった?」
わずかな言葉尻の異変を疾風は聞き逃さなかった。
「そう、だった。彼は死んだよ。僕の目の前で車に跳ねられて・・・」
藤井の缶を持つ手が震えている。
顔はうつむいたまま。

「せんせい辛いなら、別にオレ・・」
藤井の様子を見て疾風が気遣うように藤井の手をとった。
しかし、藤井はその手を握り返して戻した。

「大丈夫、覚悟を決めた上で疾風を呼んだから」
もうひとくちビールを口に運んだ。
「だからもう僕のことは放っておいてくれないか。」

「えっ?ちょっとせんせい、話の順を追って話してくれないと解らないよ。
文法滅茶苦茶だし・・先生なんだからさぁ。」
疾風は自分の缶ビールのふたを開けて口に運ぶ手を止めた。
「悪いな僕はどうも国語は苦手で・・」

藤井は両手で缶を持った。
「どこまで話したんだっけ?」
「友達の名前」
「ああ、大輔はとにかく優しかった。僕は彼に頼ってばかりいた。
そんなある日のことだった。僕は文化祭の買い出しで彼と一緒に外出したんだ。
僕はちょっとしたミスで忘れ物をしてしまった。」
藤井は一気にそこまで話すとビールを飲んだ。
そのまま両手で缶を持つ。
「そう、僕があの時うっかりしなければ、彼は死なずに済んだものを・・」

「もういいよせんせー」

疾風は自分の缶ビールをテーブルに置くと藤井の缶を持つ手を両手で包み込んだ。
「大輔は僕が忘れた物を取りに戻って車に跳ねられそうになった僕をかばって・・・」
疾風は素早く藤井の手から缶を抜き取って抱きしめていた。
そのまま優しく髪を撫でている。
「オレは死にませんよ」
「?!」
その言葉に驚いたように顔を上げて疾風の顔を見た。

「大丈夫です。もう絶対に彩にはそんな辛い思いはさせませんよ」

「そんなのはわから・・ん
(わからないじゃないか)と言おうとした言葉は疾風の唇に塞がれた。

「可愛い人・・・オレのこと心配してくれたんっすね。うれしい」
優しい口づけが次第に激しいそれへと変化していく。

藤井は一体何のために疾風を呼んだのかわからなくなってきた。
それではいけない気がするのに、疾風はそれを望んでいるようだ。
それならそれでもかまわないのかもしれない。

唇から疾風を感じながら、息苦しいほど愛おしく思われるのも
悪い気はしないと藤井は思った。

「あや、いい?」
藤井は疾風の言葉に頷いていた。

<つづく>



やっと落ち着いてきた疾風と彩でした。
この番外編長いです。

修学旅行最後の晩までたどり着きました。

でもこのほかに秀と彬生は
翔太と薫と竜也の三角関係の行方は

どうしよう・・・

とりあえずケリが付かなかったら
続編でも書こうかと思います。

イラスト描きたいなぁ~
疾風が彩の手を握るシーンがいいけど
ウーン描けるかなぁ~

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

2007年04月30日 22:35
るるっち、再びこんばんゎ☆

あぁ、一気に読めて満足満足(。>ω<)www
彩チャンにそんな過去があったのね…。
大事な人を失う恐ろしさを知ってるから
色々悩んでいたのね。クスン。
でも、その優しい気持ちを疾風は
ちゃんと理解してくれたんだもの☆
流れのままに重なっちゃったとしても
それが素直な気持ちなら、OKなのよね♪
2007年05月01日 06:42
るる様☆おはようです

彩先生・・・過去のトラウマが前進に歯止めをかけているのですね
疾風と彩先生はせつない恋物語、でも疾風の若くて強い心で彩先生を安心させて二人を成就させて上げてくださいね(T_T)
あ、そうだ!!三角関係も忘れてはいけませんネ
2007年05月01日 09:35
凛子様☆おはようさんです

重なっちゃうなんて、そんな・・(照)
ま、そうなんですよ~
疾風はそのくらい先生のこと好きなんです。
まだ若いし勢いあるから・・(笑)
皆さんの応援が聞こえるみたいです(笑)
2007年05月01日 09:38
ゆの様☆おはようございます

はい、ハッピーエンドになれるように
がんばります。(って誰ガダヨ)という突っ込みはなしで
真面目に悲しい話の後はそれを包み込める
フォローが書ければいいと思いました。
伝わるとうれしいです。
2007年05月02日 09:48
るる様☆おはよ~

1日遅れだけど(汗)
お久しぶりになってしまいました~~
2話も読めてラッキー☆
彩先生にはそんな過去があったのね・・・
疾風とその彼が重なって見えてたのかしらね?
でも、疾風なら大丈夫そうよね。全てまとめて引き受けた~~って言いそう!
この2人にはベストカップル賞をあげたい・・・
カップルになるんだよね?(汗)
2007年05月02日 16:00
かなた様☆こんにちは
1日でも3日でも遅れて全然OKですよん。
訪問してくれてうれしいですよvv
小説しばらく書いてなかったので
一気に載せちゃいました(汗)
その割に進まないなぁ~などと思っています。
もっとエピソード濃くしたかったんですが、
進まなくなっちゃうので薄ぺらになってしまいました(汗)2人のあつあつっぷりが伝わると
うれしいですvv

この記事へのトラックバック