オリジナル小説(BL)番外編第38話(最終話)

『キンモクセイの魔法に誘われて』番外編

『リゾートの海に誘われて』

※このお話はフィクションです。



風早 薫。通称姫。
本人はそんな呼び方があまり気に入っていない。

小柄で女顔の薫をふざけたクラスメイトがそう呼んだことがきっかけとなり、
女子にまでそんな風に呼ばれている。

しかし、彼の身近にいる彬生や秀、翔太や疾風、竜也達は彼のことを薫と呼んでくれた。
その中でも成績トップで生徒会長の北条翔太と、
サッカー部と野球部かけもちのスーパースポーツ男の大田竜也は
この薫のことが誰よりも好きだった。
修学旅行の最終日にどういう訳かこの3人が一緒に過ごすはめになっていた。


「竜也・・ドリンク飲む?」
「ああ、サンキュウ薫」
おずおずと差し出された大きな丸いグラスには
オレンジと赤のグラデーションのドリンクに
パイナップルやオレンジ等のフルーツがきれいに飾られ、
2本のストローがささっていた。
そのグラスを薫の手ごと受け取って竜也は片方のストローに口をつけた。

そのままもう片方のストローを薫に向ける。
薫は視線を外しながらストローに口をつけた。

テーブルを挟んで反対側に座っていた翔太は本を読むふりをしながら、
視線だけ眼鏡の奥から薫を見た。

「あ、ごめん」

薫は視線に気づいてストローから口を離した。
「でも、一人じゃ飲みきれないし、翔太はいらないっていうから・・」
ホテルのラウンジでドリンクを頼んでみると、
一番小さな薫だけとても大きなグラスにたっぷりと
注がれたドリンクが運ばれてきたのだった。

薫は翔太に『少し飲む?』と聞いたところ
あっさりと『いらない』と断られていた。
そのためにもう一人の竜也にそう聞いた結果だったのである。

翔太はため息をつくと読んでいた本をパタンと閉じた。
「だからって調子に乗って一緒に飲まなくたって・・」
「飲んだっていいじゃん」
言いかけると竜也が遮った。
「こんなの普通にみんなやってることじゃねぇ?」
竜也は何が悪いのかと両手を開いた。

薫はうつむいた。
「あ、ごめん」
「お前は悪くねぇよ」
「でも竜也」
「馬鹿らしい。こんなことでムキになるなよ」
冷静に答える翔太に対して逆に熱くなっていく竜也。

それを一生懸命なだめようとする薫は少しだけ涙ぐむ。
「僕がいけないんだ・・・」
その言葉に2人は同時に薫を見た。
「僕がはっきりしないのがいけないんだよね」

立ち上がって去ろうとしていた翔太とその翔太の腕を掴んでいた竜也は
その言葉でおとなしくイスに座った。
ガタンガタンというイスの音だけが海を望むラウンジに響いた。
「・・・・」
2人が行儀良く座って薫の次に出る言葉を待っていたが、
薫からはなかなか次の言葉が出てこない。

テーブルには3つのトロピカルドリンクが白いテーブルを彩っていた。
薫のオレンジとレッドのグラデーションの丸いグラスに入ったドリンク、
翔太のは細長いグラスに入ったブルーとパーフルのグラデーションのドリンク。
そして三角のグラスに入ったグリーンでスパークリングのドリンク。
それはまるで3人の個性を表現しているようである。

どれも一つだけは選び難いドリンクだった。
マリンブルーの海を背景に白をインテリアの主流としているこのラウンジで、
テーブルの上に置かれている色とりどりのドリンクさえも
インテリアの一部と思えるくらい絵になっている。
そのどのグラスがなくてもバランスが悪そうだった。

調和(ハーモニー)そんな言葉がふと薫の頭をよぎった。

「僕には2人とも必要なんだ。2人とも大好きだよ」

シンとした空間に柔らかいボーイソプラノの様な薫の声が響くと
黙って薫の言葉を待っていた翔太はフッと口元だけで笑った。
同じように薫を見ていた竜也も優しく微笑んだ。

「そんな薫だから俺達2人ともお前のことが好きなんだよな」
「達?・・・一緒にするな。」
少しだけ迷惑そうに翔太が眉をひそめた。
「違う?」
「いや、その通りだよ」
しかしすぐに竜也の問いかけに対して笑いながら頷いた。

「良かった。3人で仲良くしようね」
薫の言葉に顔を見合わせた翔太と竜也はあからさまにお互いの顔を背けた。
その様子がおかしくて、薫はケラケラと笑いだした。

「薫?」

少し驚いたように翔太は薫の顔を覗き込んだ。
薫は普段からおとなしくて、あまり大声で笑ったところを見たことがなかったので
いきなり薫が笑い出したのが予想外だったのだ。
「ご、ごめん・・うれしいよ。2人とも僕にとっては大切な友達だからね」
「ともだち、か」

竜也が繰り返しながらグラスを持った。
「じゃあ、友達同士の誓いの乾杯といきますか?」
「うん」
薫もおおきなグラスを両手で持ち上げる。
翔太はその様子を見て仕方なく自分の細長い洒落たグラスを持ち上げた。
カランというガラスの音がラウンジに響いたのと同時に
3つのグラスが重なり合ってその影がテーブルに映し出された。
なんとなくその影を目にした薫は

「わぁ!」
と小さく歓声をあげていた。
白いテーブルにはそれぞれの色が3つ重なり合って集合体のようになっていた。

このグラスのドリンクのようにずっと僕たちがいい友達でいられますように。

薫は密かにそう願っていた。


修学旅行、人生にとってほんの一瞬でしかない時間だけど
彬生と秀、疾風や藤井、薫と翔太、竜也
彼ら聖清学園の生徒達はこのハワイでの出来事を
きっと一生忘れられない大切な思い出として
大切に生きていくであろう。



<おわり>




どういう訳かいきなり最終話になってしまいました。(汗)

成り行き上、内容が最終話にふさわしい気がしたので一回修学旅行は

終わらせたいと思いました。

ブログでご紹介するオリジナル小説はこのシリーズに徹することにします。
(といきなり宣言です)(笑)

というわけで次回からのお話はこの中の誰かが登場します。

ただ、彬生と秀のカプは番外編限定なので

彬生は日本に帰ったらこわ~い快がお仕置きしちゃいます。

その辺は番外編としていずれ書かせていただきます。

では、皆様も夏は海辺にリゾートでも行かれて
ふとトロピカルドリンクやお祭りで彼らを思いだしていただけると
うれしいです。

などといっちょまえに作家のあとがきみたいに書かせていただきました。

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この記事へのコメント

2007年06月06日 17:28
るる様☆こんにちは
きゃぁーーっ番外編、お疲れ様でした。
キレイにまとめられた感じですねー流石っ!
思惑長い道のりになってしまって、さぞ、お疲れの事と思います。うちの櫻井&要も出させていただいて
とっても、面白く、可笑しく、心震わせながら読ませて頂きました。ありがとうございました。

新連載は近いうちに始まるんですか?
楽しみでーす♪私のように寝込むことなく体調に気をつけて小説の方も書いてくださいねー(*^。^*)
凛子
2007年06月06日 17:57
あぁ、コメント打ってる途中で息子に
押されてしまいました(;゚д゚)!!!!!!!!!!
上のコメント、消去してくださいませ…。

るる様、改めてこんにちゎ☆
番外編お疲れ様でした!!!!!!!!!
番外編と言っても、中身の濃い素敵な話で
凄く楽しかったですぅ~。
ドキドキな大胆行動に、仲良しなほのぼの感にと
色々と刺激を頂きました♪
有難う御座いました!!!!!!!!!!

新連載も楽しみにしています。
どんなお仕置きが待っているのかしら♪
今からドキドキしちゃいますぅ☆
2007年06月06日 18:50
るる様☆こんばんは♪

番外編連載お疲れ様でした~!(^^)!
ハワイの海、青春のひと時と深まった友情
素敵なHAPPY ENDですね~∪^ェ^∪
少年達にはずっとずっと仲良しでいて欲しいです

彬生くんがちょっと心配・・・
次回からのお話が楽しみですっ♪♪♪ワクワク

るる様、ここではるる様は大作家先生ですよ
(^_-)-☆
2007年06月06日 21:22
かなた様☆こんばんは

やっと終わりました(笑)
そうですね、最初はかなたさんの櫻井&要君や
ゆのさんの日樹&高原さんのゲスト出演から始めました。短編で終わらせる予定だったのに(汗)
ダラダラと終わらない内容で3泊5日のハワイ旅行の
予定なのに長い間行ってましたね(笑)
かなたさんのお陰でこちらも書いていて楽しかったですよ。
続編はいつかな?
短編は近いうちにアップしたいです。
2007年06月06日 21:25
凛子様☆こんばんは

息子ちゃま(笑)横にいらしたのね♪
ありがとうございます。
何となく思いつきの内容で、締まりがないのに
お付き合いくださって本当にうれしいです。
とっても感謝しています。
お仕置きは楽しいですからね~☆
どんなのにするか今思案中ですvv
2007年06月06日 21:30
ゆの様☆こんばんは

そんなぁ~大作家だなんて(^^ゞ
ゆのさんの方が大作家さんですよ。
ヘタレ作家と読んで下さいvv
それ気に入りました(笑)
ちょっと強引に終わらせちゃいました(汗)
本当は帰国後、快に会うところまで
考えていましたが、長くなりそうなのでやめました。
ここから先は、続編か番外編にします。
近いうちに番外編アップしたいですvv
2007年06月08日 04:26
るる様♪おはよう様です☆

!!びっくり・・いきなり終わりましたね・・・
でも、お疲れ様でした♪♪♪
3泊5日だったのね・・・
色々なカップルの事を、同時進行で描いてたから、大変でしたね・・・
ご苦労様です♪♪♪

次回作品を楽しみにしています♪♪♪
2007年06月09日 02:20
れいレイ様☆こんばんは

いきなり終わりました(笑)
長い3泊5日でしたね(笑)
そうですね、たくさんキャラが出てくると
自分でも混乱してしまってダメですね(汗)
でも、なんとか無事終了できました。
ありがとうございます。

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