「愛しい分だけ切ないから」第26話

「あれ、井上疾風?」

いきなりフルネームで呼びかけられて
ちょっと不機嫌な顔で疾風は振り向いた。

「翔太」

生徒会長でクラスメイトの北条翔太が
特別教室の並ぶB棟から続く渡り廊下を歩いてくるのが見えた。

しかし、今はあまり話したい相手ではなかったので
そのまま昇降口に向かおうとすると

「少し話があるんだが」

(相変わらず上から目線な言い方しやがって)
と疾風は思ったが

翔太は真っ直ぐに疾風の方に歩いてきた。
「何だよ、用があるから早めに済ませよ」
仕方なく疾風は立ち止まった。
「ああ、君さえ良ければ立ち話でもいいけど」

(奥歯にものが引っかかるような言い方しやがる)

疾風はキッと翔太の目を見るが翔太は軽く微笑んだ。

「藤井先生の話なんだけど」

そこまで聞いて疾風は顎で教室の方向を指し示した。

「そうだね。聞かれたくないのは君の方だからね」
翔太は先になって教室まで歩き出した。

その後を疾風も続いて歩き、程なく教室のドアを開けると
そこには誰もいない、静まりかえった空間があった。
休日の教室には部活で通う生徒と指導する教師しかいない。

「で、なに?」

疾風は早々に話を切り上げたくて余計な話はせずに
翔太に尋ねた。

「ああ、僕も忙しいから用件だけ言おう。君は藤井先生と付き合っているのか?
もしも、そうだとしたら・・・」

そこで一回言葉を切った翔太は疾風の顔を見て様子を伺う。

成績優秀で生徒会長、しかもとても恵まれた家柄の北条翔太は
優等生でありながら、どこか人の困った様子などを見て楽しむところがある。

それを知っていながら疾風は藤井の名前を出されると
自分の感情をうまくコントロールできずに顔に出てしまう。

「そうだとしたら?」
(ここは素直にそう言うべきなのか?)

「別れてもらわないといけないね」

あっさりと言われて、腹が立って疾風は教室のドアに手を伸ばした。

(これ以上一方的な会話などしても無駄)
口には出さずに視線でそう訴えた。

「だって考えてみてよ、僕達の担任じゃないか」

「ああ、要するにお前の成績が俺に勝てなくなるのが心配なわけだろ」

「見くびってもらっては困るよ、僕はそこまで小さい男じゃない
成績くらい実力で君に勝てるさ」

「へぇ、じゃあ何?」
疾風は翔太と向き合った。

翔太は疾風の目元まで顔を寄せてきたので、疾風は翔太に口づけでもされるかと
思ったが根性で視線を逸らさない。

しかし、唇が軽く触れる。

(・・・!!!)

「僕も欲しいなぁ~あの先生」

そう言って唇を舐めた。

「き、気色ワル!!」

綺麗な顔はしているけど、中身は何を考えているかさっぱりわからない。
こいつは薫を好きなんじゃなかったのか?

疾風の頭の中を色々な考えが巡る。

「どうして?って顔しているね」

そのまま疾風が後ろにさがって壁に突きあたると壁に肘をついて疾風を押さえ込む。

(何考えているんだか・・・こいつ)

「本当はどうなの?もう寝たの?」

「そんなことは」

「関係あるよ。だから駄目だって言ってるじゃない。もう、先生の所へは行かせないから・・・」

突然翔太の声が遠くなっていく

(あれ?なんだこれ・・・)

疾風は翔太の足元に崩れ落ちた。

意識がなくなった疾風を軽くつついて確認すると
翔太はポケットから携帯電話を取り出すとどこかに電話をかけ始めた

「悪いけど、運んでもらいたいものがあるんだけど」

そう言って電話を切ってポケットにしまった。

「だから駄目だって言ったじゃないか・・・」

疾風の顔を見ながらメガネを中指で押し上げて
そう呟くと教室を後にした。



<つづく>

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どうしたんだろう。。。ちょっと展開がおもしろい(笑)

サスペンス小説ではないはずなのに・・・

自分でも先が予想外になりつつ

こんな内容に驚いています。←誰か突っ込んでください(汗)

スミマセンもう少し見守ってくれるとうれしいです。

なんで疾風?!どっちかというと隼人が拉致されるの希望

またまた訳わからないコトいってしまいました。




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この記事へのコメント

2008年03月12日 09:34
るる様、こんにちゎ☆

┣¨キ(*゚д゚*)┣¨キ
凄い展開になってますねっ!!!!!!!
面白いっとゾクゾクしちゃってます☆
まさかの翔太の行動に驚きです…。
彼の言動の意味はっ!?って感じで
先が気になってしまいますぅ~。
頭のいい優等生ほど中身が分からない…。
この事態に彩チャンどうするのぉ(*゚ロ゚)

相変わらずの文章回しがお上手で
心理や背景が浮かび上がり凄いです。
日々尊敬していますっ!!!!!
2008年03月12日 18:16
凛子様☆こんにちは

ドキドキしていただけてうれしいです。
翔太のキャラがイマイチパッとしないので
思い切って怪しい男にしてみました(笑)
自分でもこのストーリーは書いていて楽しいです。まるでストーリーが生きているみたいに
変化していくんですよぉ~(笑)
えっ、場面わかっていただけましたか?
本当にうれしいです。ありがとうございます。
2008年03月12日 18:34
るる様☆こんばんは♪

北条翔太め~(o`0´)oブ~ゆるさん
疾風&彩チャンの危機ですね!?
この難、どう乗り切るのでしょう・・・
ガンバレ!!疾風(≧w≦)b
るる
2008年03月12日 18:49
ゆの様☆こんにちは
ありがとうございます。
翔太は自分では結構好きなキャラなんです。
実は色々と展開を考えていて(ムフフ)

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