「愛しい分だけ切ないから」第33話

風希の声で顔を上げると
見慣れた景色が彩の目に映し出された。

藤井家の別荘
子供の頃に良く来ていた。

そこは楽しい思い出がたくさん詰まっているはずの
懐かしい場所だった。

しかし、彩の住んでいるマンションからは2時間近くかかる場所にある。
当然学校や疾風の家からも遠い場所だ。

夏にはまだ少し早い梅雨のこの季節には人の姿もほとんどない。

彩は車を降りると一足先に降りた兄の前に立ち
彼の顔を見上げた。
風希は嬉しそうに微笑んだ。

「二人きりだよ彩」

差し出されたその手を恐る恐る取ると
風希はもう片方の手を彩の肩に回して別荘の中へと連れて行く。

(怖い・・・けど、兄さんは好き)
複雑な心境で部屋へと入っていく

彩が思っていたよりも部屋はきれいに掃除されていた。
風希は予めここに来るつもりで、管理人に掃除を頼んでいたのだろう。

居間には懐かしい子供の頃に写した2人の写真が飾られている。

風希と一緒にソファに座ると
程なくして窓の外が暗くなってきた。

あっという間にザァーという音がして雨が降り出した。
次第に雨は激しくなり
雷まで鳴り出した。

雷鳴に驚いて身を竦めた彩の体を風希は昔のようにやんわりと抱きしめる。
(こうしていると昔のままなに・・・)
彩は風希の腕にしがみついた。

「お前はそうして無意識に罪を重ねている」

兄は耳元で囁くように言葉を落とした。

「僕が罪?」

「ああ、お前は罪だ」

言いながら彩の壊れそうに華奢な顎を掴んで顔を寄せる。
「・・・ん・・・」

(こんなの違う、兄さんやめて)

唇を塞がれながら心の中で叫んでみてもそんなことは風希には伝わらない。

風希の手は彩のうなじに回されて髪を持ち上げると
まるで吸血鬼のように首筋に噛みついた。

「つっ!・・・なにす・・・えっ?」
そのまま強く吸われるとすごく痛いけど・・・

激しい雷の音で無意識に風希にしがみつこうと顔を埋めると
風希は首筋から離れて優しく背中を撫でてくれた。

風希は時折満足そうに彩の首筋を撫でながらそこを見つめる。
その日彼は不思議と彩に無理強いはしなかった。
ただ、雷に怯えてしがみつく彩を優しくなだめてくれた。


ようやく激しい雷が収まる頃には
薄い日差しが窓に差し込んでいた。

彩はいつの間にか部屋のベッドで眠っていた。
隣には風希が優しく彩を抱きしめている。
雷鳴が怖くて一晩中彼にしがみついていたようだ。

こうして2人で一緒に寝たのは彩が小学生の頃までだった。

懐かしい兄の匂いにもうしばらくこのままでいたいとさえ考えてから
ふと疾風の隣で目覚める朝のことを思い出した。

(疾風はどうしているだろう?)

あの日疾風からメールを受け取ってから
部屋を出てきてしまった。
疾風は気づいているだろうか?

「おはよう彩・・・どうしたの?」
間近で目を開けた風希を見つめると
風希は彩を抱きしめて額にキスをする。

これじゃあ恋人同士みたいだ。

もしもこんなところを疾風に見られたら
きっと何もなかったといっても信じてくれないかもしれない。

彩は段々と疾風のことしか考えられなくなっていた。

「彩、家に帰りたい?」
意外な一言だった。

いきなり連れてきたくせに風希は家に帰してくれるのだろうか?
彼の心がよくわからない。
彩は不思議そうに風希を見つめると
風希はクスッと笑った。

朝日に透ける爽やかな笑顔だけれど・・・・一体どうして


<つづく>



画像


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何かすごい展開になってきました。

このままミステリーとかにならないことを祈ります(笑)

「信じられねぇ、早くオレを出せ」疾風以下h
「だってあんた捕まってるじゃん」Ruru以下r
「じゃあこの際、何でも良いから脱出方法考えろ!!」h
「やだ、面倒くさい」r
「だって放っておいたらせんせー吸血鬼になって、オレもなってとかそんな展開だろーが」h
「おお、そういうのもいいね」r
「バカ!!いい加減にとねーと、オレもせんせーも出演拒否するぞ」h
「それは無理だね。私の考え一つで何でもできるわけだし」r
「この天然性悪女め!!」h
「ほーそこまで言うか・・・じゃあ彩がどうなっても・・いてっ!!てめっ!!」r

以下省略

「皆様にはお見苦しいところを失礼いたしました」彩

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この記事へのコメント

2008年05月29日 17:42
るる様☆こんにちは♪

後書きの会話が楽しいです~(o^-^)b
これは生みの親である、るる様だけの特権ですね

本編、ちょっぴりサスペンスタッチ(;゚д゚)ェ..
ドキドキも想像が膨らんで先が楽しみです
別荘・・・きっとお洒落な建物なのでしょう
(≧w≦)b
観尽
2008年05月29日 20:40
るる様☆
もはや、予想がつきません^^;
これがミステリーならバッチグーな展開ですよ!
兄と一緒に寝たんですよね!?
兄~~~っ、良くぞ思いとどまった、と言う感じでしょうか?(笑)
この先どうなって行くのか続きをお待ちしております☆
るる
2008年05月30日 13:54
ゆの様☆こんにちは

ありがとうございます。
面白かったですか~?実は「封縛師」を読んだときに後書きがストーリーの中に組み込まれていて、面白かったので真似してみました。
これなかなかはまりそうです(笑)
スミマセン・・・この話はいったい何なのか
わからなくなってきました。
るる
2008年05月30日 13:57
観尽様☆こんにちは

お付き合いありがとうございました。
そうですよね~この展開って(笑)
兄は本当に彩が好きなんですよ。
だから大事なんですけど、疾風が邪魔なんです。彼は一体何を考えているんでしょう?
お楽しみに!!